2010年、ドイツの公道で自動車事故が起き、成瀬弘が亡くなった。職業はトヨタのテストドライバー。走行テストから感じた車の乗り心地や性能を開発に反映させる技術者だった。著者が成瀬の死亡記事を目にしたことが、本書を書く発端になった。

稲泉 連(いないずみ・れん)
1979年、東京都生まれ。早稲田大学第二文学部卒業。『ぼくもいくさに征くのだけれど』で大宅壮一ノンフィクション賞を史上最年少の26歳で受賞。主な著書に『仕事漂流 就職氷河期世代の「働き方」』『ドキュメント 豪雨災害』など。

「普段は表に出ないテストドライバーがどんな役割を果たしているのか、知りたくなったんです。取材で聞きたかったのは、現場で働く人たちの声。彼らの仕事に取り組む思いがわかれば、企業の根幹が見えてくる。そう思いました」

(的野弘路=撮影)
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