「国道248号線の“見えない壁”が壊れた」

歴代プリウスと並ぶ内山田竹志会長。「働き方改革」の生みの親だ。(時事通信フォト=写真)

トヨタ自動車では、経営層をはじめ多くの社員がこう話している。というのも、研究・開発の技術者と生産技術の技術者とが、13年春に完成した「パワートレーン共同開発棟」で一緒に働くようになったからだ。

トヨタではこれを「働き方改革」(加藤光久副社長)と位置づけている。

名鉄・豊田市駅から岡崎市に向かって国道248号線を15分ほど車を走らせると、広大なトヨタの施設群が見えてくる。左側には技術部門(研究・開発)の総本山があり、右には生産部門の拠点が広がる。

両者を2つに区切るのが国道248号線であり、見えない壁とは技術部門と生産部門とを隔てる“障壁”を意味する。

技術や生産、調達といった機能別の強さはトヨタの特徴だ。だが、機能別の強さは半面で強烈なセクショナリズムを生む。縦割りの関係性は強く、横のつながりは希薄。国道を挟んだ左右の両者は、これまでほとんど相容れなかったのである。

「働き方改革」の現場であるパワートレーン共同開発棟は、右サイドの本社工場内に建設されたが、ここはトヨタ創業の地でもある。ちなみに、パワートレーンとはエンジンやトランスミッションなど駆動系部品を指す。