褒めると子供はダメになる
社員に煩わされるケースも増えています。今の若い人たちは、褒めて育てられた世代。特に1990年代以降は、子供は褒められることで自己肯定感が高まると考えられてきました。しかし実際はそうはいかなかった。調査の結果、自己肯定感が低い若者が3倍になってしまったのです。現在の30代以下の人たちは、叱られる経験が少なく、心が鍛えられなかった。
彼らに対しては、頭ごなしに否定する言葉を使ったりしてはいけません。こう改善したらどうかとアドバイスをする。柔らかな態度を最初は示しつつ、徐々に心の距離を詰めていくようにするしかありません。
そんな若者の存在が、中高年の上司をますます苛立たせています。中高年の世代は自己実現は二の次に、年功序列の会社組織で我慢して働いてきたのに、社会全体が変化してきた。そんななか、若者が社会の変化を当然として思うままに振るまい、時には的外れに思う自己主張をしてくるのですからたまりません。俺たちの人生は何だったのかと鬱積する中高年と、打たれ弱い若者たち。現代は皆が「キレやすい社会」になっていると言えるでしょう。
(構成=伊藤達也)