ブルボンヌさん(女装パフォーマー)、光浦靖子さん(タレント)、松本晃さん(カルビー会長兼CEO)が、交代でお悩みに回答する本連載。仕事や私生活でモヤモヤしていることを一緒に解決してくれます。今回の回答者はブルボンヌさんです。

【今回のご相談】
20代の後輩女子の教育係になったのですが、間違いをちょっと指摘するだけで凹んでしまいます。朝に一度だけ注意したら、キツい言い方はしていないのに、夕方までため息をついていました。上司は「打たれ弱い世代だから、ほめて伸ばしてやれ」と言いますが、今のところほめるところが見つかりません。[34歳・IT・あめちゃん]

この間、厚生労働省から2015年5月の有効求人倍率が1.19倍と発表されたけど、23年ぶりの高水準なんだって。若い世代の人口減もあって今の20代は売り手市場。企業側は、多少問題があっても若い子を使っていくしかないのよね。

ブルボンヌさん

一日中ため息をついて「傷つきました」アピールをする後輩――。ネットに「先輩面ウザい」とか書かれてそうな雰囲気ね。だけど、今後もその子と一緒に働いていくなら、「この先輩の言うことなら聞いてみよう」と思われる程度には信頼関係を築く必要があるわね。「ここはネットじゃねぇんだよ。生身の人間同士の職場なんだよ」ってことをわからせるためにも、あなたからアクションを起こしましょう。

打たれ弱い子とのコミュニケーションは面倒だけど、そこは工夫次第。

たとえば私の知り合いのバーのママは、「若いスタッフを頭ごなしに怒るとしょげちゃうから、本人に業務報告を書かせてる」って言ってたわ。文章で振り返ると、自分を客観視する癖がついていいみたい。

ちなみに「朝注意する」のは、あまりいい方法じゃないそうよ。一日のスタートでミスを指摘されると出ばなをくじかれて、ガクッとテンションが落ちるから。でも夕方になってから「今朝こういうことがあったじゃない。あれはこうしといてね」って言えば、そこまで傷つかないし、「仕事が終わるまで待っててくれたんだな」ってことが伝わるでしょ。そういう配慮を見せるだけでも、後輩の受け止め方は変わってくると思うわ。

といっても、あなた自身が「人格者」になる必要はないのよ。

後輩への気遣いは全部、自分自身が成長して、評価を上げるため。私はこの子を使って、人をその気にさせるスキルを磨いてやる――。そういう損得勘定で動けばいいの。偽善によって相手が心を開いて、結果的に関係が改善されたのなら、それは良い偽善よ。

ただ、人としてどうしても合わない組み合わせというのも現実にはあるの。いくら歩み寄っても関係が変わらないなら、上司に打ち明けたほうがいいわね。「やるだけのことはやりましたが、彼女には効果がないので、相性の問題かもしれません。組み合わせを変える余地はないですか」って。

これは指導者としての自分の評価を下げるリスクもあるから、いよいよダメだってときの最終手段。あなたが爆弾のスイッチを押さずにすむよう、祈っているわ。

【ブルボンヌさんからのアドバイス】
偽善でもかまわない。後輩への配慮を示して自分の評価を上げよう!

ブルボンヌ
女装パフォーマー、エッセイスト。「週刊ニュース深読み」(NHK総合)、「ゆうがたLIVEワンダー」(関西テレビ)ではコメンテーターとしても活躍。

構成=中津川詔子 撮影=遠藤素子