“時間の悩みをほぐす”禅語

【而今(にこん)】

「今」を大切に生きることです。戻ってこない「過去」や、まだ起きていない「未来」にとらわれ、後悔したり、不安を抱くのは、「今」をきちんと生きているとは言えません。

【歳月不待人(さいげつひとをまたず)】

今日という一日は二度と帰ってきません。やる気が起きず、ダラダラと過ごしてしまうのは、確実に明日があるという思い込み。「今」を大事に生きることです。

【萬法帰一(ばんぽういちにきす)】

森羅万象、すべてのことは絶対真理に戻っていくのです。幸福や喜び、苦しみや悲しみが永遠に続くことはありません。常に表と裏は代わる代わるやってくるのです。

【山中無暦日(さんちゅうれきじつなし)】

隠遁生活を送る隠者には暦は関係ない。自らが主体となって時間を使いこなすことが大切ということ。時間に追われず、自分で時間をコントロールできる術を身につけましょう。

【暁天坐禅(ぎょうてんざぜん)】

朝の勤ごんぎょう行の前に修行僧が行う坐禅のこと。一日を気持ちよく過ごすには、早起きをして、余裕を持って朝の時間を過ごすことが大切です。

【夜坐(やざ)】

修行僧は禅を組み、心を鎮めて床につきます。日中は影を潜めていた不安や心配事が闇とともに姿を現します。判断を誤りがちなので、夜は大事な判断をしないことです。

【閑坐聴松風(かんざしょうふうをきく)】

草庵で釜の湯が煮える音を聞きながら静かに過ごす。一人または大切な人と静かに過ごす時間が心の安らぎをもたらすのです。忙しくしているのは自分自身です。

【一大事申(いちだいじともうすは)今日只今心也(きょうただいまのこころなり)】

大切なのは今の一瞬一瞬を精一杯生きること。苦しいことも、明日に先延ばしするのではなく、今日しかやるときはないのだと思って仕上げてしまうことです。

【平常心是道(びょうじょうしんこれどう)】

イライラしたり、くよくよ悩んでいると、何も解決しないまま、あっという間に時間が過ぎ去ってしまいます。心の振れ幅はできるだけ小さくするよう心がけましょう。

(構成=遠藤 成 写真=若杉憲司)
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