住宅購入適齢期にある人は、ライフサイクルの近い同僚や友人たちが、次々と家を買う姿を見ることになります。その中で不動産価格がぐんぐん上がっていれば、「自分も早く買わなければ」と焦ることになりがちです。しかし、そこで冷静になるべきです。
先に挙げた住宅購入適齢期には、10年ほどの幅があります。この幅の範囲内で、不動産マーケット・サイクルの価格のピークを避けて、家を買えばいいのです。ほんの2、3年の購入時期の違いが、金額的には数千万円単位という非常に大きな差となります(図参照)。老後の生活資金を考えたとき、この差は非常に重要です。
今後もマーケット・サイクルが過去と同様の周期で動くとは限りませんが、当面は上昇基調を続けるでしょう。でも後々後悔しないためには、自分の生活上の必要性だけに囚われず、「不動産価格にはサイクルがあり、上がってもやがてまた下がる」ことを念頭に置きつつ、焦らず買いどきを見極めるべきです。
宮城大学 事業構想学部教授 田邉信之(たなべ・のぶゆき)
1980年京都大学法学部卒業、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。不動産金融関連業務に従事。2009年より現職。金融・ファイナンス、不動産投資・証券化が専門。著書に『豊かな人生を築くための不動産との付き合い方』ほか。
1980年京都大学法学部卒業、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。不動産金融関連業務に従事。2009年より現職。金融・ファイナンス、不動産投資・証券化が専門。著書に『豊かな人生を築くための不動産との付き合い方』ほか。
(構成=久保田正志 撮影=石橋素幸)