3. 1日を振り返り、記録する

ノートにメインで書き込んでいるのは、その日に起きた出来事だ。書き込む事柄は仕事に限らない。朝何時に起きて何をして、誰と会い、どのような話をしたのかということを、仕事、プライベートに関係なく事細かに書いていく。

会った人や話の内容といった行動記録のインデックスとして活用。

行動記録を残す意味は2つある。一つは、情報のインデックスにするため。時系列で残しておくと、あとで過去の情報が必要になったとき、自分の行動記録が手がかりになって関連情報を引き出しやすくなる。私がノート1冊に行動記録を集約させているのも、情報に効率よくたどり着くためだ。

じつをいうと、外務省時代は自分の行動記録をつける習慣がなかった。秘密の仕事をしていると、記録をつけることがリスクになるからだ。しかし、作家業では記録があることが大きな武器になる。私が自分の行動記録をつけるようになったのは、東京拘置所に入って何もすることがなかったからだが、おかげでとてもいい習慣が身についた。

かつての私がそうだったように、みなさんの中にも自分の行動を記録しても仕事に役に立たないという人がいるかもしれない。しかし、それでも毎日の行動をノートに書き込むことはムダにならない。1日の行動を振り返ることで、不要な仕事の存在や非効率な時間の使い方を把握できるという2つ目の効果があるからだ。

仕事が立て込んでくると、終わった仕事のことは忘れて早く次に進みたいと考える人がほとんどだろう。しかし、それではいつまで経っても時間の使い方が上達しない。忙しくても必ず1日を振り返り、どこかにムダはなかったかとチェックしてこそ時間の使い方がうまくなっていく。

ムダをあぶり出すには、行動を書き出して可視化することが大切だ。無意識のうちにやっているムダは、頭の中で考えるだけではムダと認識できない。1日の行動を具体的に書くことで、改善の余地があるかどうかを客観視できるようになるだろう。