「当たり前」をいかに高いレベルでできるか
【弘兼】今年9月には、ファミリーマートがサークルKサンクスを傘下に持つユニーグループHDと経営統合します。合併後は約1万8000店となり業界首位のセブン-イレブンと肩を並べる。約1万2400店(16年2月末時点)のローソンは、2位から3位に転落します。
【玉塚】店舗数というのは一つの数字ではありますが、すべてではない。全体、あるいは個店の収益力など、重要なバロメーターはいろいろあります。我々が大切にしているのは個店の強さと品質の高さ。40年前、日本の商店は全国に160万店ありました。それが現在、80万を切っている。かつてあった近所の八百屋、本屋がなくなっているのです。
【弘兼】郊外の大型スーパーがその役割を担っているのでは?
【玉塚】その面もあります。ただ、高齢化で、単身者も増えています。大型の店に行くだけでくたくたになってしまう人もいます。
【弘兼】団塊の世代が高齢化していき、70代半ばを超えると、車も運転できなくなる。そうなると郊外の大型店に行けません。
【玉塚】そこで、ぼくたちのような近所の店が、生活全体を支援していけるような商品構成、品揃え強化をきめ細かくやっていくことが大切になってきます。ローソンではそれを「生活支援強化」と呼んでいます。品揃えも400品目増やしました。当たり前のことを当たり前に、どれだけ高いレベルでできるか。現場はこれから間違いなく人手不足になります。店舗数を求めるのはもちろんですが、同時に個店の高い品質を守ること、それが大切だと考えているのです。