和食の最後にデザートとコーヒー

こうして和食におけるデザートが充実してくると、それにあわせて飲みたくなるのがコーヒーではないでしょうか。最近少しずつ増えてきていますが、「和食の締めにコーヒー」というスタイルを提案する和食店が出てきました。

確かに、たとえ和食であっても、肉料理やしっかりしたデザートの後には、コーヒーで口の中をリフレッシュさせたいという気持ちもわかります。コンビニコーヒーがこれだけ普及して、ますます日本人のライフスタイルにコーヒーが浸透していく中で、外食においても「和食×コーヒー」はより一般化していくものと思われます。

 

ちなみに和食店の側にとっても、こうした事態はチャンスです。お酒をまったく飲まない、あるいは量を飲まないお客が増えていく中、客単価を維持していくためには、これまで手つかずだった「食後」という領域を開拓していく必要があるのです。サービスのお茶ではゼロだった売り上げが、コーヒーを出せば数百円アップできるわけですから。

かたや、フランス料理やイタリア料理では「食後」が極めて充実しています。アラカルトで料理を注文した場合、食後にチーズや食後酒、コーヒーなどを頼むことで、支払い額はぐっとアップします。店にとっては、「食後」を大切な収益源と考えているのは間違いありません。

充実した甘味やコーヒーなどによる、「和食の食後のひととき」。それは優雅な時間を過ごしたいお客にも、また少しでも売上を伸ばしたい和食店にも、どちらもニーズがあるでしょうから、これから次第に存在感が増していくかもしれません。

子安大輔(こやす・だいすけ)●カゲン取締役、飲食プロデューサー。1976年生まれ、神奈川県出身。99年東京大学経済学部を卒業後、博報堂入社。食品や飲料、金融などのマーケティング戦略立案に携わる。2003年に飲食業界に転身し、中村悌二氏と共同でカゲンを設立。飲食店や商業施設のプロデュースやコンサルティングを中心に、食に関する企画業務を広く手がけている。著書に、『「お通し」はなぜ必ず出るのか』『ラー油とハイボール』。
株式会社カゲン http://www.kagen.biz/

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