●和解に成功するための7つの策
こうした障害にもかかわらず、クライアントとその弁護士はしばしば紛争を取引──パイをただ分割するのではなくパイそのものを大きくする取引──のチャンスに変えることができる。以下に、迅速に和解を成立させ訴訟を避けるための7つの策を紹介しよう。
[1] 交渉による解決の可能性を探る
訴訟にともなう高いリスクとコストを考慮して、訴訟を起こす前に交渉による解決について十分、検討しよう。実際多くの企業では社内弁護士に対して、外部の弁護士を雇って訴訟に踏み切る前に、交渉による解決のメリットについて検討したことを早い段階で経営陣に説明するよう要求している。
[2] 紛争を取引に変えるチャンスを探る
紛争を創造的な取引に変えるにはどうすればよいのだろう。あなたのさまざまな利益──金銭とは無関係の利益も含めて──を突き止めて、それを表明すればよい。たとえばセクハラ訴訟の原告は、金銭的補償に劣らず公式の謝罪と職場環境の改善を望んでいると思われる。そのような選択肢を積極的に見つけようとする企業は、紛争を解決できるだけでなく、仕事上の大切な人間関係を守ることもできるだろう。
[3] 意思決定分析を用いるよう要求する
訴訟プロセスのリスクとチャンスを数値で示すことには消極的な弁護士が多い。しかし可能な選択肢と起こりうる結果を徹底的に理解しておくことはきわめて大切だ。弁護士に、依存図や意思決定ツリーなどの意思決定分析ツールを使って、訴訟に踏み切った場合の結果予測を示すよう求めるべきだ。考えられる出来事の蓋然性を割り出すことで、訴訟に踏み切るべきか否かについて体系的な意思決定が可能になる。
[4] 弁護士に胸襟を開く
訴訟にはえてして、きわめて経験豊富な弁護士でさえ気づかない個人的・感情的側面がある。たとえば、ビジネス・パートナーでもある一族同士の訴訟では、一族の歴史や過去の人間関係を細かく見ていく必要がある。訴訟になった場合には、弁護士に自分の利害関係をすべて理解してもらうことがきわめて大切だ。