クックパッドの2011年度4月時点の年間売上高は約32億円、営業利益は16億円で売上高営業利益率50%、創業から10年あまりで近年急成長をみせている。
同社の利益の源泉になっているのが加工食品メーカーに対するマーケティング支援活動で、「レシピコンテスト」が代表的である。
広告主となる加工食品メーカーの商品を使った、あるいはそれに合う料理のレシピを1100万人近くの月間閲覧者を抱える同サイトを通じてユーザーから募集し、グランプリや入賞を競ってもらう。
テーマの例は「子供が喜ぶおやつレシピコンテスト」「ビールに合うトマトの料理コンテスト」といったものである。
例えば焼き肉たれメーカーのエバラ食品工業は同社の定番商品である「焼き肉のたれ」を使ったレシピ募集を行った。その結果、従来通りの料理以外にビビンバに使う、焼きそばに使うといったレシピなど150件が投稿された。
クックパッドの場合、レシピ投稿だけでなく先述の「つくれぽ」機能があることがサイトの魅力度をアップさせている。各レシピに対して投稿されている「つくれぽ」数を見れば投稿レシピのうち、どのレシピの人気があるかが一目でわかるのである。
レシピコンテストを使った別の事例としてミツカンのものがある。同社はツンとした酢の匂いが気になってあまり酢を使った料理を食べない消費者に対して、酢を使った料理に関心を持ってもらうことを課題としていた。
そこで開発されたのが「やさしいお酢」という名の新商品だった。酢の匂いを好まない人向けに匂いをおさえた酢を開発したのである。ミツカンはこの「やさしいお酢」を対象にしたレシピコンテストを行った。
「お酢嫌い克服キャンペーン」という名のもとに新商品のモニターを募集し、当選した人たちにサンプルを送り、レシピを投稿してもらった。
幸い、1000人の募集に7000人の申し込みがあり1400人が当選、2週間で1039件のレシピが投稿されたという。その結果、同商品の用途は拡大され目標販売数の1.4倍を達成できたという。
以上の事例はレシピコンテストを通じた需要拡大の成功例である。どちらの事例でも(1)当該商品を使ったレシピを募集、(2)メーカーの想定外のレシピの投稿、(3)つくれぽによる人気の可視化と人気レシピの登場、(4)人気レシピを使った料理をしたいと考える消費者の増加、(5)商品の販売数増加というルートを描いたのである。