社員を前向きにするパフォーマンスとは

状況を冷静に分析して伝えるという部分では、京セラ名誉会長の稲盛和夫さんや、ファーストリテイリングの柳井正さんが非常にお上手です。彼らは大変な現実から目をそらさず、具体的なダメ出しをします。ただし、そこで終わるのではなく、解決策まで具体的に提示するので、「成功への道筋は見えているのだな」という安心感や信頼感を醸成することができます。

あなたはピンチのとき、どう振る舞いますか?

柳井さんに関しては、かれこれ15年ほど取材させていただいていますが、最近、辛いときに限らず社員の前でのパフォーマンスが上手くなったなと感じます。昔はもっと人間味のない「ビジネスマシーン」を思わせるような方でしたが、理屈だけで人の心はつかめないということがわかってきたのかもしれません。ユニクロ自体の規模感も、初めてお会いした当時と今ではまるで違います。事業のステージが上がったから人間的に成長したのか、人間的な成長があったからあそこまで事業が成長したのかはわかりませんが、辛いときも社員の心を前向きにさせるパフォーマンスができるのは、「トップ・オブ・トップ」の条件でしょう。

【調査概要】
年収1000万円以上で「自分の人生は成功だ」と思っている人(成功者)と、年収300万円以下で「自分の人生は失敗だ」と思っている人(失敗者)に、リサーチプラスにて、各100人にアンケート調査を実施。2015年3月6~9日。

ジャーナリスト・経済キャスター 谷本有香
証券会社、Bloomberg TVで金融経済アンカーを務めた後、2004年米国でMBAを取得。その後、日経CNBCキャスターに。トニー・ブレア元英首相の独占インタビューをはじめ、世界のVIPたちへのインタビューは1000人を超える。現在、日経CNBC「夜エクスプレス」のアンカーを担当。テレビ朝日「サンデースクランブル」ゲストコメンテーターとして不定期出演中。
(大高志帆=構成 時事通信フォト=写真)
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