「都民による都民のための都政」を実現できるか
また、保育所を確保するというハード面だけでなく、保育士の働く環境を改善し、給料のアップだけでなく、保育ママなどを活用していきたいという。
そして、子育て支援として乳児用の「液体ミルク」の国内製造を訴え、普及に尽力している。赤ちゃんを育てるために第一には母乳だが、日本では粉ミルクを使うことが多い。とはいうものの、世界各国では、水やお湯が不要で、そのまま赤ちゃんが飲める「液体ミルク」が製造販売されていて、水がでなかった東日本の大震災や熊本地震の非常時には、小池氏が会長を務めていた日本フィンランド友好議員連盟を通じて、フィンランド製の液体ミルクを支援物資として提供して重宝されたという。街頭演説の中で、
「子供のため乳児のための液体ミルクを、日本で製造できるようにしたい。そんな細やかな心遣いが都民の皆さま方の心をつかんで、ああ、東京で良かった、そして東京でもっと元気で働きたい、子育てをしたいという方がもっと増えてくると思っています」
と、繰り返し訴え、日本での製造販売を願っているママさん達と、すでに連携をとっている。その他にも、街頭演説などで、
「子育てなのか、仕事なのか、思い悩んでどっちかを選ばなければならない。そんなことをやっているのはこの日本だけですよ。そして子供さんを預かるところがなかなかなくて、日本死ね、なんという言葉が言われております。そんな育児に関する課題、私は女性の観点から、ぜひ働く女性も子育てをしっかりやりたい女性も、そして子育てで頑張りたい保育士さんも、みんなが納得し、安心できるような、そんな東京にしていきたいと思っております」
などと言い、女性の働き方や現状を分析しながら、訴えている姿が印象的だった。
これらの主張などで、都民から信任された小池氏だが、出馬をめぐって“目の敵”にされていた石原伸晃・自民党東京都連会長や、都議会のドンといわれる内田茂氏ら自民党都連幹部らと、どう折り合いをつけて都政を動かしていくのかが注目されている。
とはいえ小池氏は、「クールビズ」などの斬新なアイディアで、ネクタイを外すことで国民の共感を得ながら、「夏場に余分なエネルギーを使わないようにしよう」「地球温暖化を防ごう」という大義に結びつけてきた、大義と共感を集めてきた政治家だ。「都民による都民のための都政」となるよう、今後の舵取りに期待したい。