「いい人」でも利益優先の業者はいる

ただ、「公」と「民」では若干、印象が違うことは確かです。

最初に相談する役所の職員=公は「お役所仕事」という言葉があるように融通が利かない面はあるものの、市民には分け隔てなく対応してくれる印象があります。一方、介護サービス業者=民。誠実な業者は多いと思いますが、営利を求めなければ成り立たない面もあり、利用者のことより儲けを優先する部分があるのではないか、という印象を持ちがちです。

それと我々が利用する他の業種の民間企業、たとえば家電メーカーであれば、A社の製品とB社の製品の性能などを比較して選ぶことができますが、介護サービスの場合は基本的にケアマネージャーが選んだ業者を利用することになりがちです。

提供されるサービスに不満があればケアマネージャーに言って業者を変えてもらうこともできないわけではありませんが、介護の専門家に対して素人の家族がなかなか言い出せるものではありません。こうした状況にある利用者は「どこまでが公営で、どこからが民営なのか」といったモヤモヤを抱えるのです。

だからといって公は信用できて、民は信用できないというわけではありません。

以前、我が家(父)を担当したケアマネージャーはとても良い方で、要介護3になった父の状態や家の事情をくみ取って最適のサービス事業者を手配してくれました。利用したのは、介護用品レンタル、訪問介護、訪問看護、訪問入浴でしたが、来た事業者はみな親身に対応してくれました。

ただ、中には利益優先の業者がいるという話を聞きますし、介護サービスを利用するうえでの基礎知識として、どこまでが公で、どこからが民か、ということは頭に入れておいてもいいと思います。