「患者力」を身につければサービスが上がる

【安田】医師の話が続きましたけど、病院に行ったら看護師や職員の態度もチェックしたほうがいいです。「スタッフはいいけど医師はダメ」というケースもありますが、その逆はない。いい医師が、スタッフの態度を放置するはずはありませんから。受付がきちんとした言葉で対応できないような病院は、やめたほうがいいです。

【角野】きちんとした医療サービスを受けたいなら、「患者力」というか、患者さんの側の努力も必要ですよね。医師も看護師も人間ですから、敬遠したくなるような患者さんがいるのは事実です。逆に、ちゃんとコミュニケーションがとれる患者さんには、できるだけサービスしたいと思います。

【三谷】モンスター的な患者さんには辟易しますね。休日診療のとき、子どもが熱を出してやって来た母娘がいました。待合室で待っている間、「どれくらいかかります?」って何度も急かすんです。理由を聞いたら、「ジャニーズのコンサートに間に合わなくなるから、早くしてほしい」って(笑)。

【安田】「クレーマー」といっていい、困った患者さんも少なくありません。「もっと薬を出してほしい」とか、「きちんと説明してほしい」くらいならいいんです。でも、「必要ない検査をされた!」と怒鳴ったり、金銭を要求したりする人もいます。病院側に不手際があれば仕方ありませんが、医師も看護師もギリギリの人手で一生懸命働いているんです。あまりにも理不尽なことを言われると悲しくなりますよ。

【井村】対応しにくい患者さんは、入ってきた瞬間にわかりますね。社会的な地位とは関係なく、「要注意人物」には独特の空気がある。私が思うに、人間は死ぬときに必ず素の自分が出るんです。入院するときは、病状に関係なく「死ぬかもしれない」と思っていたり、死ぬほど痛い思いをしていたりするから、素が出やすいんでしょうね。病院では、どのような人生を歩んできたかが如実に表れるんだと思います。

【三谷】その人の「生命力」みたいなものは、食事に出ると思います。数値的にはかなり限界に近づいているのにリカバーする患者さんには、大抵食欲がある。逆に、「点滴だけでいい」と言う患者さんは衰弱していきます。

【井村】それは私も同感。口から食べるって大事なことなんです。食べることで脳は活性化するし、消化器官も動きはじめますから。これは特に年配の患者さんに言いたいです。

【安田】在宅に移行しつつある日本の老人医療は、これからどんどん格差が広がっていくでしょうね。保険で支払える医療費にプラスして、自費で訪問看護ステーションにお金をかけられるかで変わってくる。要は、医療もお金で買う時代になってきたということです。

【井村】虚しいような気もしますが、それが現実ですね。もちろん、私たち現場の人間が「本当にそれでいいの?」と世間に問題提起していかなきゃいけないとは思っていますけど。

【角野】看護師の仕事って、責任重大でミスは許されないし、モンスター的な患者さんもいて本当に大変。でも、大切な命を預かっているという自負もあるし、患者さんの笑顔を見ると力がわいてきます。改めて「やりがいのある仕事だな」と思いました。

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