千曲川ワインアカデミー

そんな彼らに系統立てて情報を提供し、独立するまでをサポートしようと、2015年「千曲川ワインアカデミー」を開校し、彼らのために新しいワイナリーもつくりました。ヴィラデストのホームページの端に小さく告知を出したら、40名の応募があり、その中からITや金融関連の経営者、医師など24名の方がこちらに移住して、農業としてのワインづくりを学んでいます。最年少は24歳、最年長は64歳、平均年齢40.9歳、すでにワイン畑をつくるための土地を借りている人もいます。みな本気の人たちです。


玉村夫妻が24年間で築き上げたワイナリーとレストラン。右下の写真はレストランの入り口。左上の2枚は、建物の眼下に広がるぶどう畑と、いつも賑わうレストラン店内。レストランの階下がワイナリーになっていて、左下の写真のようにワインの醸造樽が積まれている。

移住して、ワインづくりをするなら40代がいいでしょう。相当な労働ですから、それ以降は体力的に難しい。私が申し上げるのは「まずは1年くらい、週末に田舎に通って畑仕事をやってみて、それでもどうしても諦められなければ相談に乗りましょう」ということです。

なぜなら、ぶどうづくりをはじめてからワインができるまでには5年を要し、初期投資には3000万円くらいかかります。最初に農地を借りて、ぶどうの苗を買って、支柱を建てたりするだけでも軽トラックや道具などが必要となり、さらに500万~600万円かかります。あとは生活費です。夫婦とお子さんひとりの家族だとするなら、5年間の生活費に2000万円は必要でしょう。

ぶどうは育てるのにあまり手間はかからず、空き時間に移住先でサイドビジネスをするのも手です。千曲川ワインアカデミーの生徒さんに医師がいらっしゃいますが、地元の病院で週に2~3日働いていて、地元にも歓迎されています。

5年経てばぶどうの収穫がはじまるので、それを近くのワイナリーに持ち込んで委託醸造すると、1本1500円ほどの値が付きます。酒の小売り免許を取得してこれを買い戻し、たとえば1本3000円で売ることができれば、1本につき1500円の儲けになります。