最後に、近年の目立つ変化をもうひとつ見ておきましょう。

晴れて試験を突破した、新規採用教員の年齢構成です。1997年度と2012年度の新規採用教諭の年齢構成を比較すると、図2のようになります。

ご覧のように、高齢化が進んでいます。2012年度の30歳以上の割合をみると、小学校は20.6%、中学校は25.0%、高校では32.2%にもなっています。最近の高校では、新採教員の3人に1人が30歳以上であると。

非常勤講師などをしながら何回も試験にトライする、浪人組が増えているためでしょう。新規採用教員の高齢化は、別に悪いことではありません。非常勤(臨時任用)とはいえ、現場経験を積んだ人間が集まるわけですから。最近は、ケツの青い新卒よりも即戦力人材が望まれるのかもしれません。

しかし問題もあります。

時間給で働く非常勤講師には研修を課すことができませんので、自己流の授業スタイルになりやすくなります。何年も非常勤をやった人が正規採用になった場合、すっかり染みついた我流の授業スタイルを、初任者研修で削ぎ落とさなければならないわけです。これはある意味、経験のない白紙の新卒を教育するよりも大変なことです。

児童・生徒から好かれる、20代前半という「ピチピチ」のステージを経験できない、という問題もいわれています。福井大学の松木健一教授の調査結果によると、子どもからの支持が高い教員の年齢層は、20代前半、30代半ば、そして50代だそうです(日本教育新聞、2012年6月11日)。

高齢の新規採用教員は、このうちの第1のピークを経験する(味わう)機会を逸するわけですが、そのことが教員としての自信(自我)形成に影響しないかどうか……。こういう懸念も持たれます。

教員のライフコースについては大よその定説があり、法定研修もそれに即して組まれていますが、新規採用教員の高齢化がより進むならば、従前の枠組みに修正が求められることになるかもしれません。

教員の質を担保する上で、採用試験はきわめて重要な位置を占めているのですが、その性質が一昔前と比べてずいぶん変わってきています。競争率の低下、新規採用者の高齢化……。これに伴う弊を、採用後の研修でいかにフォローしていくかが問われているといえましょう。