口臭対策は口内と内臓の環境改善を

口臭のキツい相手と話をするのはツラいもの。しかし、より深刻なのは、一度、自分の口は臭っているかも? という疑念が生まれると、たとえ臭っていなくても、人と接するのが怖くなり、仕事のコミュニケーションに悪影響を与えてしまうことだと五味先生は言う。自分の息のニオイを確認するには、ニオイのついていない紙袋に口から息を吹き込み、鼻から吸うことで確認できる。

手軽にできる口臭チェック 紙袋に息を吹き込み、鼻から吸って息のニオイを確認してみよう。健康状態の変化もわかる。

口臭の原因は大きく分けて2つある。1つは口内環境の悪化によって口の中に細菌が増えること。もう1つは内臓の状態が悪く、そのニオイが口から出てくること。

まず口内環境を改善するにはどうすればよいのだろう。

「唾がクサいと誤解している人も多いのですが、分泌されたばかりの唾液は無臭です。しかも、口臭の元凶になる細菌を洗い流してくれる洗浄液でもあるのです」

唾液に含まれる酵素が細菌の細胞膜を溶かして破壊する。口の中の細菌が生き残ったとしても、唾液と一緒に飲み込まれてしまえば胃酸によって死滅する。唾液が豊富に分泌されていれば、雑菌の繁殖が抑制され、口腔内のべたつきや乾燥もなくなり、口臭の予防に繋がるのである。

「ですから、寝起きの息が臭うのはあたり前で、寝ている間は唾液の分泌が抑制され、自浄作用が弱まっているからです。起きている間は、唾液腺を刺激し唾液の分泌を促進することが口内環境を整える理想的な方法です。朝の口臭を消すには、なによりも朝飯をきちんと摂ることが大事なのです。おしゃべりをしながら、しっかり噛んで、ゆっくり食べるのが理想です」

もちろん、食後の歯磨きは忘れないように。口の中は湿度が高いので、1~2時間もすると食べカスが発酵してニオイを生じるからだ。食べるたびに歯磨きをするのが一番だが、うがいだけでも口臭の予防になる。

「口臭の原因の一番は歯についた歯垢。これは食べカスをエサにして増殖した細菌の塊です。ニオイの元となるだけでなく、虫歯や歯周病の原因となるのは、ご存じでしょう。歯ブラシだけでなく、歯間ブラシや糸楊枝も併用して除去してください。放置しておくと、唾液中のカルシウムを吸着して、約2日で歯石に変化してしまいます。こうなるとブラッシングしてもなかなか落ちません」

次に内臓環境の悪化が引き起こす口臭の対策。まず、寝る前の食事は胃腸に負担をかけ、それが高じて、口臭の原因となる内臓疾患に結びつきやすい。満腹も避け、腹八分を心がけること。キュウリやトマトなどの体を冷やす野菜の摂りすぎに注意するとともに刺激の強い香辛料もほどほどに抑え、肉など動物性脂肪も控えること。

「内臓の健康を保つことで、口臭は自然と収まってくれます」