ファーストクラスの乗客と聞いて思い浮かぶのは、「ビジネスの成功者」「超エリート」「一流」といったキーワードでしょうか。ファーストクラスは、座席数でいえば機内全体の3%程度。この特別なシートに座る乗客は、マナーや立ち居振る舞い、服装から会話まで、どれをとっても申し分のない方たちだそうですが、実は、目には見えないこんな部分でも共通項があることがわかりました。
それは、人とのコミュニケーションを取るうえでの大切なエチケットである「口臭」「体臭」といった、臭いの問題です。元日本航空キャビンアテンダントでマナーコンサルタントである毛利仁美さんの『ファーストクラスに乗る人が大切にする51の習慣』(プレジデント社)に、こんなエピソードがあります。

「ファーストクラスに歯槽膿漏の人はいない」

ファーストクラスに乗る人は、年齢にかかわらず姿勢がいいと、これはファーストクラスを担当するCAなら誰もが感じていることでしょう。どの人も背筋がピンと伸びていて、歩く時にも歩幅が広く、はつらつと、そして堂々としています。

『ファーストクラスに乗る人が大切にする51の習慣』(毛利仁美著・プレジデント社)

このことについては、常に他人から見られているのだという自覚、自信の表れなど、さまざまな分析をすることができますが、私には常に自分を律しているように感じられます。(中略)

ファーストクラスに乗る人は、座っている時にも姿勢の良さを保っています。シートに浅く腰かけて足を投げ出している人などいません。ビジネスクラスでは「隣の人が貧乏ゆすりをしている」というクレームを受けることがありますが、ファーストクラスでは皆無です。

貧乏ゆすりに限らず、周囲の人に迷惑をかけるのはマナー違反ですが、意外と多いのが歯槽膿漏。機内では、それこそ他の方の迷惑にならないよう声のトーンを落として話すため、CAはお客様に近づき、耳をそばだてる必要があります。その時に相手の方が歯槽膿漏だったら……。

ところがファーストクラスでは、お客様の口臭に悩むことはありませんでした。歯の汚れた人もいませんでした。国際的に活躍するビジネスパーソンにとって清潔な口元を保つことは必須条件だといえそうです。

臭いといえば、ファーストクラスのお客様から加齢臭を感じたこともありません。だからといって、日本人のお客様は強い香水をつけているわけでもないのです。つけていたとしてもほんの少し、ほのかに香る程度に、を心がけている人が多いように思います。

仕事のできる人はセルフプロデュース力に長けているのですね。

※『ファーストクラスに乗る人が大切にする51の習慣』より引用。