「ありがとう」の一言で人生が変わる

CAは搭乗口で「おはようございます」「こんにちは」とお客様をお迎えします。

他のクラスでは何の反応もしない人が一番多く、反応をしたとしても会釈か、小さな声で「どうも」という程度です。ところがファーストクラスのお客様が無言で通り過ぎてしまうことはありませんでした。

必ずこちらの目を見て「おはよう」「よろしくね」とおっしゃいます。この「こちらの目を見て」というのがポイントで、それができるのは自信のある人だけ。さらにはっきりとした口調で「おはよう」「よろしくね」と告げるのは余裕の現れだといえるでしょう。

『ファーストクラスに乗る人が大切にする51の習慣』(毛利仁美著・プレジデント社)

ファーストクラスのお客様は、相手に威圧感を与えることなく、威厳を示すことができるのです。逆にいえば、他のクラスの方にありがちな、こちらのあいさつに無反応だったり、目を見ずにボソボソと応える人に対しては、失礼ながら「この方は自信がないのだな」「こういう場に慣れていないのだな」と感じてしまいます。

ビジネスクラスやエコノミークラスでは、食事のサービスをしたり、リクエストに応えてお茶をお届けしたりする場合、顔も上げずに、テーブルを用意して置くCAの姿をただ眺めてうなずくだけであったり、アゴで「ここに置いておいて」と示す人などもいます。

かたや、ファーストクラスのお客様はたとえ読書中であっても、映画の途中であっても、手を止めて、こちらの目を見ながら「ありがとう」と言ってくださるのが常でした。きちんと感謝の言葉を伝えてくだされば、当然うれしいですし、もっとお役に立てることはないだろうかとモチベーションがアップします。

「ありがとう」という言葉の力は、想像以上に大きいのです。