もう1つ、体臭や口臭には健康のバロメーターという側面もある。
「いつも自分のニオイを知っていれば、変化に気づくこともできる。むやみに消してしまうのは、病気のサインや体調の変化を見逃してしまうことにもなりかねません」
まずは、ニオイ=悪者ではないと知ることが大前提。先にも述べた通り、ニオイはイメージが大きく左右する。頭ぼさぼさ、シワだらけのシャツ、靴もボロボロで、陰気な人は、臭っていなくてもクサいと思われる。身だしなみに気を使い、明るく活動的なイメージがあれば、クサいとは思われない。
「そのうえで、個性のニオイ以外の不快なニオイの対策をすべきなのです。不快なニオイにもいくつかあって、最近よく話題になるのが、加齢臭、疲労臭、ミドル脂臭。加齢臭は皮脂腺のニオイ。疲労臭とミドル脂臭は汗から出るニオイです。
加齢臭=オヤジ臭と思われがちですが、そうではありません。加齢臭の原因となるのは、皮脂腺の中のパルミトレイン酸という脂肪酸と過酸化脂質が結びついてできたノネナールという物質ですが、これ自体は実はそれほど不快なニオイではありません。ロウソクや図書館のようなニオイだと例えられるものです。
嗅覚は3~4歳ころまでにほぼ完成されますが、この時期におじいちゃん、おばあちゃんと過ごした人は、成人しても加齢臭を気にしません。核家族化、潔癖志向の時代になって、気になりだしたのでしょうか。
ただ、加齢臭は生活習慣病と大きな関係があります。肉食中心の食事、運動不足でストレスを抱え込む生活を送っていると、皮脂腺にも脂肪分が増え、活性酸素も増加します。肥満や生活習慣病になりやすい生活は、ニオイの発生度合いも高くなると言っていいでしょう」