「市場の進化」経営を実践、全体最適を推進する5つのポイント

DG TAKANOの事例を参考にして、閉塞した市場から独自の市場を見つけ、そこで活路を見出して全体最適を図る詳しいプロセスは、このたび上梓した『価値づくり進化経営』(日本経営合理化協会刊)に譲るが、ポイントが5つ指摘できる。

(1)第三者から持ち込まれる相談やOEMは、新市場開拓につながるヒントがある

長く同じ市場でビジネスをしていると、新たな発想に立てない企業が多い。だが第三者から持ち込まれる相談やOEMの中には、自分たちでは思いもよらない新たな市場や製品を発見するヒントが生まれることがある。

この事例でも外部から節水製品の依頼が入ったことで、業務用ガスレンジの火力調整ツマミで培った技術を水道市場に転用し、高機能の製品開発につながった。

OEMや他社からの持ち込み企画の場合、技術特許などの知的所有権は自社で取得しておかないと、単なる下請け企業に終わる。自社で生み出したノウハウは自社で有効活用し、事業化を図ることを前提に取り組む。

(2)新市場を創造するために、ユーザーの代替メリットを徹底的に分析し解決策を見出す

新たな市場を獲得するには、ユーザーが購入するメリットを考慮して、需要を顕在化させる必要がある。事例の企業は市場を開拓するために、ユーザーの水道料金を大幅に削減する節水機能に着目し、代替を促進する価値を創造した。ランニングコストを大幅に削減できるメリットを生み出せば、製品価格が高くても顧客は喜んで代替購入してくれる。

(3)ひとつの事業所で複数の需要が生まれる製品なら、市場は拡大できる

「バブル90」の耐用年数は10年とされ、買い換えサイクルは10年となる。だが「バブル90」を必要とする法人や組織には水道の蛇口が何カ所もあり、複数の製品需要が存在する。買い換え需要を待たなくても、新規取引先の開拓に注力すれば、需要を拡大できる。

(4)製造に徹し「販路」や「営業力」は他社の力を借りる選択肢もある

DG TAKANOはグループ企業にDG SALESを持ち、直接販売を行っているが、大手企業の下請け的役割を果たしている企業では、社内に営業機能を持たないところが多い。製造に専念してきた企業が、新たな取引先や販売先を開拓するのは至難の業だ。

こうした場合の短期的な選択肢として、自分たちは製造に特化し、販売先の開拓や営業活動は他社の力を借りて業務委託を行い、役割を住み分ける発想も必要になる。中長期的には自力で販売できる体制を整備すれば、さらに強みが増す。

(5)他社が参入しないように、先手を打つ

自社が開拓した市場規模が大きくなると、多くの競合企業が市場に参入してくる可能性がある。また製品の利益率が高いと、固定費がかかっている大手企業には魅力的に見え、参入される可能性も高まる。

機械だけで生産できる量産品ではなく、職人による手作業との組み合わせにより付加価値を高め、人件費(手間)がかかっていることを競合他社にわからせ、特許や実用新案を取得して参入障壁を高くする取り組みが必要になる。競合に対しては、先手を打つことだ。