グローバル化は政治と経済を一体化させる

【三宅義和・イーオン社長】明治大学についてお伺いします。先生ご自身、明治大学大学院を修了されて、政経学部の教授、学部長。それから副学長と、明治大学一筋です。明治大学は受験生が毎年10万人を超える人気大学ですが、現在、どのような学部があり、外国籍の学生はどれぐらいいるのでしょうか。

大六野耕作・明治大学副学長、政治経済学部教授

【大六野耕作・明治大学副学長】現在、10学部です。設立順に、法学部、商学部、政治経済学部、それから文学部、理工学部、農学部、経営学部、情報コミュニケーション学部、国際日本学部、総合数理学部。それぞれに大学院がございますので、10研究科プラス法科大学院とか、ビジネススクール、アカウンティングスクール、ガバナンススクールがあります。

学部生は2万8000人。4000人の大学院生を含めますと3万2000人ということになります。このうち、学部の1年目から入学してくる短期および中期のレギュラーの留学生と短期のセメスター留学も含めて、今年は約1800人弱でしょうか。

【三宅】さすがに多いですね。そんなにいらっしゃるのですか。

【大六野】10数年前は600人程度でしたので、3倍ぐらいに増えました。だからキャンパスに行きますと、ひと昔前は外国人に会うことは稀でしたが、今はどのキャンパスに行っても、さまざまな国の学生がいます。特に、国際日本学部は定員の3割ほどを外国人留学生で占めます。

【三宅】そうした学部があるなかで、先生が学部長まで務められました政治経済学部が、2014年度にグローバル人材育成推進事業に採択されました。そもそもこの政経学部と英語、グローバル化との接点はどこあったのでしょうか。

【大六野】グローバル化のもとでは経済と政治は一体化しており、もはや国内だけでは動きません。それが1つです。同時に私が思いましたのは、そうした時代だからこそ、外国語学部とか国際学部ではなく、伝統のある学部が世界で通用するようでなければいけないということです。そうでないと、本当の大学の国際化は成り立たないのではないかということです。この支援事業の新しい名称から考えてもそれが正しいと思っています。

【三宅】確か、経済社会の発展を牽引するグローバル人材育成支援になりましたね。この目的からすれば、政治経済学部の選択は当然でしょう。

【大六野】実は、採択の前の年にも申請しているんですが、そのときは採択されませんでした。やはり政経学部で出しましたが、実際に学生が交流している数が少なかった。08年で49人でしたから。加えて、明治としては何をグローバル化するのかということが明確ではありませんでした。

けれども、1年間やってみて、交流する学生の数も増えました。一番大きかったのは、カリフォルニア大学バークレー校。まずは協定校になることに一生懸命努力したのです。カリフォルニア大学全体の調整役を担っているサンタバーバラ校と4年ぐらいかけて折衝しましたが希望通りにいかない。そこで途中からバークレー校のサマーセッションと3年ほど折衝してパートナーシップ・アグリーメントを結んだのです。

最初の年が13人。ところが、バークレーのサマーセッションに参加した日本の大学では一番学生数が多かったんです。早稲田も来ていなければ、慶應も来ていない。ICU(国際基督教大学)が10人。バークレー校から見れば、一番のお客さんということで、キャンパスの日本人学生は「明治か?」と聞かれるぐらいです(笑)。バークレー校が定着すると、カリフォルニア大学は競い合いますから、アーバイン校、デービス校、ロサンゼルス校と、4校に広がっています。