テストマニアがつくったスピーキングテスト
【三宅義和・イーオン社長】先生が約2年間の歳月をかけて開発に関わられた新しいスピーキングテスト「E-CAT(English Conversational Ability Test)」についてお聞きします。なぜいま、新しいスピーキングテストをつくろうと思われたのですか。また「E-CAT」の設計思想はどのようなものなのでしょうか。
【安河内哲也・東進ハイスクール講師】実は私はテストマニアでして、大学生時代から英検を皮切りに、TOEFL、TOEICなどありとあらゆるテストを何度も受けてきました。通訳案内士国家試験、国連英検、観光英検といった毛色の変わったものまで受験しています(笑)。そうした経験から、英語のテストというのは、その結果を踏まえて次の目標を決めるための役に立つツールだと確信しています。
さて、あたりまえのことですが、リスニングとリーディングの2技能のテストを目的化した勉強をいくらやっても、スピーキングができるようにはなりません。2技能のセンター試験をがんばったのに話せるようにならなかったと悔やんでいたはずですね。それにもかかわらず社会人になって、また同じような2技能の試験に向かって努力し、そこだけで高得点をとってもしかたないでしょう。
それは「のど元過ぎれば熱さ忘れる」ということなのでしょうか。英会話学校などに通う英語学習者の大半は「英語が話せるようになりたい」のです。すると「話せるようにしてあげたい」という指導と「どれだけ話せるか」を見るテストも、一体化させることを目指すべきでしょう。そこで、日本、いや世界中の誰もが自分の実力がどのレベルかを測れるスピーキングテストが必要だったんです。
このE-CATは、既存のスピーキングテストではカバーしていなかった初級の学習者までをカバーし、モチベーションアップのための目標となることを目指しています。ある企業で実施し、アンケートを取ったところ、30%以上の受験者が受験後に「楽しかった」と答えています。受験後に3割が楽しかったと答えるテストなんて他に思いつきますか。このテストで英語を話す楽しさを実感していただき、さらにTOEIC Speaking TestやVersantなどのテストにも挑戦する人がたくさん出て、世界のスピーキングテスト人口が増えるということも、このテストを開発した大きな目的でした。