これまでの知識、価値観は通用しない

【三宅】13年9月にグローバル人材育成教育学会という新しい学会が誕生しました。大六野先生も発起人の1人で、現在、副会長をされています。私どもも賛助会員として協力させていただいていますが、学会が誕生した経緯、そして、目的について教えていただけますか。

【大六野】私が正式にメンバーになったのは14年の11月です。ですから、創立メンバーではないんです。基本的には各大学を超えた、情報交換、共同研究をしており、約300人の会員がいます。グローバル化への対応と言っても政策だけでは限界があります。今までわれわれが生きてきた環境、つまり、生活や教育のあり方、仕事での人間関係や情報の共有の仕方といったものが、国家を超えてしまったということです。

企業はそれを真っ先に感じるわけです。どこでモノを売るかっていう戦略が必要なわけです。そういうものを含めて、日本人が国内外でどう行動していくのかが重要になります。「その際に必要な教育というのは、一体どんなものだろうか」ということが、学会が取り組む一番のテーマになります。

『対談! 日本の英語教育が変わる日』三宅義和著 プレジデント社

【三宅】これまでの知識、価値観だけでは対処しきれないという現実がもう起こっていますし、さらに加速する。

【大六野】おそらく、あと5、6年すると旧来のシステムで、かなりの部分が通用しなくなりますよ。そうしたときに、優秀な人たちは何とか対応できるでしょう。しかし、それだけでは、国力や企業の実力は衰退してしまいかねません。1人ひとりの成長率と人数をかけて、この面積が広いところが強い組織と呼ばれるはずです。

だから大学を含めて、これからの教育と人材育成が非常に大切になってきます。早稲田大学ががんばる。慶應義塾大学も努力する。もちろん、明治大学も負けません。立教大学、法政大学、中央大学もそうでしょう。そこで培った知恵やスキルを共有することによって、グローバル人材を増やしていくしかありません。

われわれ大学関係者は、学生にしっかりとした知識と教養を身につけてもらい、どんどん社会に羽ばたかせます。ですから、企業も積極的にそうした人材を採用し、思う存分活躍させてほしいですね。

【三宅】本日はありがとうございました。

(岡村繁雄=構成 澁谷高晴=撮影)
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