マズローは読むと元気になる「心のビタミン」

2冊目のオススメは、「欲求五段階説」で知られるマズローの『人間性の心理学』です。これも有名ですが原著を読んだ人は少ないと思います。

▽仕事でストレスを感じたら
『人間性の心理学』
産業能率大学出版部/A.H.マズロー
解説だけでなく、読者に動機づけを与えるように構成されている。マズローの理論は経営学やマーケティング理論にも影響を与えた。
 

健康な人の精神状態を理解し、よりよい生活を送るための心理を目指したのがマズローです。彼の自己実現論は経営学やマーケティング理論にも影響を及ぼしているので、ビジネスマンとして押さえておきたい一冊です。

マズローが欲求を段階的に整理するとき、その考え方の根底には動機づけがあります。動機づけは足りないものを充足するという概念ですが、それだけでなく成熟や成長に向かう動機づけもあるはずだとマズローは論じています。その意味でマズローが重視するのが自己実現です。

この本は、動機づけとは何かを解説するのではなく、読んだ人が動機づけられる設計になっています。だから読むと元気になる。その意味で「心のビタミン」となる心理学本だといえます。

3冊目はカバットジンの『マインドフルネスを始めたいあなたへ』。カバットジンはアメリカの心理学者で、この本の中で瞑想の基本的な要素と、日常生活に応用する手法を説いています。

▽自信を失くしたとき
『マインドフルネスを始めたいあなたへ』
星和書店/ジョン・カバットジン
精神科医カバットジンが書いた瞑想の実践手引書。瞑想の基本的な要素と、それを日常生活に応用する方法までを説いている。
 

マインドフルネスはとても不思議な単語です。このマインドという言葉は日本語だと「知」に近いニュアンスです。マインドをフルにするということは頭の先から足のつま先まで全身に気を配るということを意味しています。

配慮といってもいいかもしれません。そして、配慮は自分だけでなく他者に向けてもいい。たとえば相手が仕事上でどう思っているかを頭の先からつま先までじっと心の中で観察し、気を配ってみるとこれまで見えなかったものが見えてくるでしょう。

カバットジンは、禅を採り入れたカウンセリングで、毎日丁寧に生きることを強調します。たとえば洗濯物を畳むときにいい加減にしないで、ちゃんと畳む、人にあったらきちんと挨拶する。一人称だけでなく、二人称、三人称の観点から外に向けて気を配っていく。すると、いい意味で疲れ、よく眠れるようになると説いています。