ちなみに、なぜNから1を引くかというのは、中学受験の算数の試験で頻出する「植木算」でも説明することができる。

木を横に何本か並べて植えたとする。両端に木を植えるとき、木と木の間の数は、木の本数より必ず1つ少ない。5本植えた場合、木と木の間の数は4である。つまり、「N-1」というのは、木と木の間の数と同じ意味を表しているのだ。

冒頭の新商品の例では、初めの数が3、差が2で、5番目の数を求めるという問題だから、公式にあてはめることによって「3+2×(5-1)=11」と素早く計算できる。

さて、上司と部下のやりとりでは、5カ月後までの累計も部下が瞬時に計算している。これも普通に足し算して、「3+5+7+9+11=35」とできるが、やはり数が大きくなると面倒だ。

この場合は、等差数列の和を求める次の公式が役立つ。

「等差数列の和=(初めの数+終わりの数)×個数÷2」

この証明を、ここでは数字を使って説明したい(図参照)。

図を拡大
等差数列の和を求める例

等差数列の和をSとし、足し算すると、「S=3+5+7+9+11」となる。このときに逆順で足し算した「S=11+9+7+5+3」を図のように下段に置いて、上下の数の和を求める。そうすると、いずれも14になる(3+11、5+9、7+7……)。

したがって、「2S=14×5=70、S=70÷2=35」となり、「等差数列の和=(初めの数+終わりの数)×個数÷2」の公式が成り立つのである。

今回紹介した2つの公式を覚えておくと、上司とのやりとりや会議のときなど、きっと仕事で役立つはずだ。

(構成=田之上 信)
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