子どもの頃から世界経済を見ていた
移動時はもちろん、ロケや収録の合間にも、iPadの画面を覗いてはニヤニヤしたり、ボヤいたり。そこに表示されているのは、刻々と変わる世界の株・為替・商品先物の価格状況だ。
「投資は昔からやってるヨ。最初に相場の世界を教えてくれたのは、ナイジェリアで貿易商をやっているお父さん。ボクは子どもの頃から見込まれて、オフィスに連れていかれては『これはドコソコの国からいくらで買ってきたモノで、これからいくらで売るから、利益はいくらになる』ということを教えてもらっていました」
同じモノでも、その時々で買付価格は違っている。決済に使う通貨は米ドル、英ポンド、日本円。商品を安く買えても、通貨の調達価格が高ければ、そのぶん儲けは目減りする。
「こっちの国の景気がよくなるとあっちのモノが安くなって、あっちの国で紛争があるとこっちの通貨が高くなる。じゃあ、これからはこうなるんじゃないか、今度はあっちがああなるんじゃないか――、そういうのをパズルみたいに考えるのがチョー楽しかった!」
成長したボビー少年はナイジェリアの国立大学の経済学部を卒業、父親の貿易会社を手伝うことになった。しかし「これまでさんざん教えてやったんだから、恩返しするのは当然だ」と、給料はほとんどもらえなかったという。
「お父さんはチョー怖いから、口答えは絶対に許されない。本当は跡を継がせたかったのかもしれないけど、ボクは早く独立して自分のビジネスを始めたかった。でも、お金がぜんぜんないのにどうやって起業する!? 投資しかないじゃん! それで少しずつ外貨預金したり、身近な株を買うようになった」