次にお客様の話をしっかり聞いて、「共感」を示すこと。お客様は問題を解決してほしいのはもちろんですが、それよりも「こんなにイヤな思いをした」という気持ちをわかってほしくて、わざわざクレームを言ってきているのです。それなのにこのプロセスをいい加減にはしょって、事務的に「わかりました、じゃあ返金します」などと言ってしまうと、「私、お金を返せなんて言いましたか?」とさらに怒らせてしまう。ですからここはじっくり話を聞いて洗いざらい吐き出してもらい、そのうえで、「なるほど、奥様をねぎらうためのご旅行でしたのに、部屋がそんな状態ではご主人のお立場がなかったですね」というようにしっかり共感を示すことです。
ただし共感するあまり「ごもっともです」「おっしゃるとおりです」を連発してはいけません。一度や二度ならいいですが、あまりにも繰り返すと、お客様が心理的に上に立ちすぎてしまい、解決が難しくなるからです。
最後は「感謝」で締めくくります。「お客様、私どもの気づかなかった点を教えていただきありがとうございました。これで他のお客様に同じことをせずにすみます」というように。実はクレームを言うお客の65%はリピーター層です。また利用したいからこそ、クレームを言うわけです。ですから怒りがおさまったあとのお客様は、ちょっとバツの悪さを感じています。「いやな客だと思われただろうな、もう利用できないな」と思っているところへ思いがけず感謝されれば、「自分はいいことをしたんだ」と笑顔になれるというわけ。
ぜひお客様を笑顔で帰してあげてください。
クレーム・コンサルタント 谷 厚志
リクルートにてCS推進室を担当。2000本以上のクレーム対応を通して「クレーム客をロイヤルカスタマーに変える方法」を確立。独立後、コンサルティング・講演などを行う。主著に『「怒るお客様」こそ、神様です!』。
リクルートにてCS推進室を担当。2000本以上のクレーム対応を通して「クレーム客をロイヤルカスタマーに変える方法」を確立。独立後、コンサルティング・講演などを行う。主著に『「怒るお客様」こそ、神様です!』。
(長山清子=構成 工藤睦子=撮影)