立ち派の家の妻は「妊娠意欲」が下がる?
なお、上記以外にも聞き取り調査をしていて、気づいたことがある。「立ち派」の家は、子どもがひとりの家庭が多いのだ。これは、単なる偶然かもしれない。
だが、自発的に座って用を足す夫を持つCさんには、今夏2人目のベイビーが誕生予定だ。また、座り派を快諾した夫を持つAさんも2人目を検討中。
その一方、しぶしぶ座ることを承諾してもらえたものの、今も夫と衛生観念の違いで争いの絶えないというBさんと、座り小便をついに聞き入れてもらえなかったDさんは、「2人目は考えられない」と断言している。
座るか、立つか。
大げさに言えば、この二者択一は出生率の問題にもなるということだろうか。確かに、衛生観念が高い夫を持てば、妻の家事の負担は減る。家族とはいえ、自分が飛ばしたものではない尿ハネ2300滴を、毎日のように便器内外をすみずみ拭き取らねばならない作業は、楽しいものではない。だから、ほんの少しでも「低負担」な夫を持つ妻のほうが、第2子、第3子の壁は低いのだろう。心と体の疲労度が軽減され、頑張って産もうか、という気になるかもしれない。
実際、厚生労働省の調査でも、2人以上の子どもがいる家庭ほど、夫の休日の家事・育児時間が長いという結果が出ている。今回の調査でも、トイレ掃除を始めて、自分の尿ハネに気づいて座り派に転向する男性もいた。
同じ「座り派」でも、「自発的」な夫と「しぶしぶ」座る夫とで、夫婦仲はもとより、家庭のにぎやかさまで変わってくるかもしれない……。そう思うと、いつまでも「男たるもの、立ってするのが当然だ!」と言い続けるのも考えものという気がしてくる。
※参照元:
・パナソニック 2015年「トイレスタイルの実態調査」
https://sumai.panasonic.jp/toilet/alauno/shingata_alauno/survey.html
・SUUMO「SUUMOトイレの使い方アンケート」
2015年6月、首都圏・中京圏・近畿圏在住の20~59歳までの男性(子どもなし)に調査・有効回答数は230名。
http://suumo.jp/journal/2015/06/30/93037/
※厚生労働省「第13回21世紀成年者縦断調査」
表18「夫婦数、妻の年齢階級、夫の家事・育児時間(平日・休日)、(再掲)子どもが『ほしい』と考えていた夫婦、子ども数、この12年間の出生の状況別」
https://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/GL08020103.do?_toGL08020103_&listID=000001141774&requestSender=estat