取引先のパーティーや宴会に誘われたら、営業担当者としては何をおいても馳せ参じなければいけないもの。少々仕事が残っていても、「来てくれるよね」といわれたら、「申し訳ありませんが……」とはなかなかいえないものである。
それでも一次会で終わってくれるのなら、会社に戻って一仕事片づけられる。しかし、宴会やパーティーが盛り上がってくると付きものなのが二次会、三次会のお誘いだ。「これからもう一軒行きましょうよ」といわれたとき、どうやって断ったらいいのだろう。
トップセールスを続け、数多くの取引先の企業経営者から信頼を勝ち取り、いまでは営業関係のコンサルタントとして全国各地の企業経営者との接点を持つ吉野真由美さんは次のようにいう。
「どうしても自分にやるべき仕事が残っているのなら、『次のアポイントメントが入っておりますので』と真正面からお断りします。それで相手のメンツが潰れるという心配は無用です。一次会に出席したことで、十分に相手の方を立てているからです。それに、次の約束があるという断り方なら、相手も『それなら仕方がありませんね』と納得してくれるはずです」
そうした吉野さんの手法をさらに強固なものにするのが、大手不動産会社でトップセールスを続けている営業マンである三住友郎さんの「間接トーク」を活用した戦略だ。
「実際に不動産の営業の現場は忙しくて、午前中に2件、そして午後に3件回って、それからようやく営業所に帰ることが多いのです。戻れば戻ったで、お客さまとの電話での応対が待っていたりします。そうしたときに他のお客さまから電話がかかってきたら『三住はいま契約中です』とスタッフに答えてもらいます。それが何度も繰り返されると、お客さまは『彼は売れている営業マンなんだ。無理強いをすると、他のお客さんに迷惑をかけてしまうな』と自然に思ってくれて誘いが減ります」
デキル人ほど時間を大切にしたいと願うもの。そうであるならば、多忙であることが自然と伝わるように、常日頃から一工夫することも大切なのかもしれない。