仕事がデキるビジネスパーソンは、当然のように夜の仕事もデキる男である。限られた時間で円滑なコミュニケーションを図るために、宴会に精通する各業界のエキスパートたちはその「2時間」をどう使うのか。

一口に「宴会」といっても同僚との飲み会から、取引先をもてなす接待まで、その範囲はさまざまだ。著書『ハーバード流宴会術』のヒットで知られるグローバルアストロラインズ代表取締役社長の児玉教仁氏はそれぞれの宴会における「ゴール」を明確にすることが大切だという。

「社内の飲み会でも懇親会、忘年・新年会、決起会、歓迎・送別会などでゴールは異なりますし、得意先との宴席にしても、ガチガチの接待か、カジュアルな席かでゴールは変わる。ゴールが異なれば、そこに至るまでの時間の使い方や段取りも変わります」

例えば懇親会。盛り上がっている人たちと盛り下がっている人に流れる時間のスピードは異なる。もちろん、人は苦痛な時間ほど長く感じてしまう。時間の流れをそろえることが必要だ。「目的がお互いの交流なら、参加者全員がそれぞれ主役になれる瞬間をつくる。普段地味な人にもスポットライトを当て、全体の輪になじんでもらうことが重要です」(児玉氏)。

キリンビールマーケティング営業1部、課長代理の木村正一氏は派手な舵取りはしないが、常に細かな気遣いを忘れない。「一見、ムダに見えるかもしれないようなところにまで時間と手間をかける。その姿自体がもてなしとなり、結果として宴席全体の雰囲気がより早くよくなる」という。

得意先の接待なら数カ月前から準備を行う。当日は開始時間よりも早い時間から店舗前に立ち、参加者を迎える。翌日に直筆でお礼をしたためる。

「自分の時間を最大限、参加者の方のために使う。見えないところで汗をかくことで心の距離が近づくと考えています」(木村氏)