「○○君って、賢くていいですね。羨ましいわー」。出た、必殺褒め殺し!
作家の内藤みかさんの長男が小学生時代、塾に通っていたときのこと。模試などで好成績を収めると名前が塾内に張り出されるため、そのたびにあらゆる母親から妬み半分で絶賛された。「どうやったら、そんなに点数が取れるの? なにかコツがあるんでしょ?」。
「そんなふうにこちらを褒めながら探りを入れてきた場合、ヘタに謙遜して『ウチの子、何にもしてないんですよ』などと言おうものなら、向こうの褒め殺しモードはさらに拍車がかかります。勉強をたいしてしないのにウチの子は高得点取れるんですよ、と自慢しているように先方は感じ取るからです」(内藤さん)
では、いかに妬み攻撃を防御すればいいのか。内藤さんが考えて、繰り出していた台詞は次の通りだ。
「ウチの子なんて毎日寝坊で、生活習慣が全くなってないのよ」
「少し点が取れるのは数学だけで、他の科目は○○君(相手の子ども)にはかなわないわ」
「要するに、自分の子どものダメなところをどんどん披露するんです。そうするとウチの息子は完璧ではなく弱点がたくさんあることも知り、安心するんです。『夜は机には向かっているみたいだけど、最近は部屋にも入れてくれないし。どうも夜遅くまでゲームしたり、アニメ見たりしているみたいで……』と愚痴るのも有効です」(同)
さらに重要なのは、褒め殺しをしてきた相手の子どものいい部分を逆に褒め返すこと。いわば、そうやって相手の自尊心や優越感をくすぐることで、こちらに向いていた妬みを解消させてやるのだ。
「褒める材料を得るにはふだんから息子から情報収集しておかないといけませんね。学校・塾から帰って子どもがする友人たちの何気ないエピソードを聞き流さないできちんとインプットしておくべきです。小学生、特に男の子の話は『◯◯って、すごいヤツなんだよ』などと大雑把で具体性を欠くことが多いので、『どんなふうにすごいの?』とこちらが詳細を取材することも必要です」(同)