個人消費に明るい兆しが見えてくるようになった。しかし、多くの会社ではどうしたら顧客ニーズをつかみ、売り上げにつなげられるか悩んでいる。その解決策を若手の凄腕営業マン・販売員に学ぶ。
外資系のプルデンシャル生命保険にはライフプランナーと呼ばれる営業マンが約3200人いて、その中でもトップクラスの成績をキープしているのが中原祐治さんだ。総合ランキングで12年度に第2位、13年度には第3位に入った。
中原さんの営業は紹介営業が基本だ。その紹介も顧客から別の顧客を紹介してもらうことが極めて重要なのだという。たとえば、電話で新規の顧客にアポ取りをする際、いぶかる相手に対して、「○○さんも加入されて、とても喜んでいただいています」と伝えれば、耳を貸してもらえる確率がぐんと上がる。
初めてのお客さまとのアポイントを取るのに苦労している営業マンは多い。そこで、お客さまと親しかったり、信頼関係のある人からの紹介であることを伝える。すると「あの人の紹介なら一度話を聞いてみようか」となって、アポ取りの確率はグンと高まる。
そんな中原さんだが、06年度に入社した当初のランキングは67位、翌年度は83位だった。しかし、ある顧客の一言がヒントになって、紹介してもらえる人数が飛躍的に増え、08年度には10位になった。
「営業では自分の本音を出すのはよくないと思っていたのですが、ある経営者の方に、『おまえの話はウソっぽいんだよ』といわれたんです。それから本音でぶつかるようにしました。そうしないと人として信用されず、本当に大切な方のご紹介はしていただけません」
たとえば、顧客が他社の保険に入っている場合、「その保険がお客さまにとってベストフィットなら、当社の保険には加入しなくてもいいんです。解約しないよう念押しします」と中原さんはいう。
また、経営者の顧客が多く、会社の経営についても相談される中原さんは、「周囲には本音で話してくれる人が少ないんでしょう。他社の成功事例などを話しながら自分の意見を率直に申し上げると、とても喜んでくださることがあります」と話す。
今では顧客の経営者から営業に関する社内研修の講師役まで頼まれることがある。そんな中原さんの夢は、順位で1位になり、それをキープしていくことであるそうだ。
▼耳の痛いことをいって懐に飛び込む
お客さまが経営者だったりすると、周囲にはイエスマンばかりのことが多い。たとえ経営者にとって耳の痛いことでも、本音で話せば胸襟を開いて信用してくれるようになる。
1980年、東京都生まれ。2002年、中央大学卒業後、サントリーに入社。06年、同社に転職。12年度、総合ランキングで2位に。