外資系企業と日系企業の「決定的な違い」
私はスイスの医薬品メーカーの日本ロシュ(現・中外製薬)を振り出しに医薬品業界で働いてきました。それも外資系企業一筋で約45年。そのうち23年以上を日本法人の社長として過ごしてきました。
みなさん、外資系企業に対してどのようなイメージをおもちでしょうか。もしかすると、「自己責任での成果主義が徹底されている」とお考えの人も多いかもしれません。間違いではありませんが、それはひとつの側面に過ぎません。日本の企業においても、厳しい成果主義を導入するところが目立ちます。成果主義に問題があるといいたいわけではありません。人事評価に歪みがあれば、どんな制度もうまくまわりません。
私がお伝えしたいことは、どんな企業であっても「人」を大切にしなければ長続きしないということです。外資系企業だからといって、「結果だけ出せばいい」「自分さえよければいい」という人は上には立てません。実際に私が接する機会があったほとんどのトップの方々は、人間的にも素晴らしい人物ばかりでした。
外資系企業は特別な組織ではありません。日本法人であれば、働いている社員の多くは日本人でもあります。企業の国籍によって異なる点より、共通する点のほうが多いはずです。
約束を守る、手抜きはしない、周りの人間に敬意を払う――。それは人として当たり前のことであり、企業の国籍を問わず共通する基本なのです。