外国人対応フロアを三越銀座店でスタート
【弘兼】この数年、「訪日外国人」が急増しています。2014年は1300万でしたが、2015年は2000万人に届く勢い。政府は3000万人という目標も掲げ始めました。特に小売業では訪日中国人による「爆買い」の勢いがすさまじいですね。
【大西】中国からのお客様は以前からいらっしゃっています。これまではいわゆる富裕層の個人のお客様が多かったのですが、3年ほど前から中間層のお客様が、団体旅行でいらっしゃるケースが増えました。
【弘兼】団体旅行になれば騒がしくなるのは当然ですよね。40年ほど前、日本人も欧米に団体旅行で乗り付けて、各地で顰蹙を買いましたから。
【大西】同じ中国のお客様でも、富裕層の方は「静かに買い物がしたい」「団体客とは一緒になりたくない」とおっしゃっているようです。
【弘兼】とはいえ、バスで来るお客様を断ることはできません。
【大西】もちろんです。今後、さらに外国人のお客様が増えれば、専用フロアを設けることも考えなくてはいけないでしょう。百貨店は地下を合わせると大体10フロアになるのですが、そのうち3~4フロアは婦人服です。これは婦人服の売上高が35~40%を占めているからです。
【弘兼】そうすると訪日外国人のシェアが10%を超えてくれば、1層は外国人専用のフロアになりますね。
【大西】我々の店舗のなかでも、三越銀座店は訪日外国人のお客様が多い店舗です。このため2015年、8階に「空港型市中免税店」を導入。商品購入時にパスポートと航空券を提示していただき、商品は羽田空港か成田空港で受け取る形になります。
【弘兼】売り場が分かれていたほうが、日本人と外国人の双方にとって、ストレスが少なくなるでしょうね。
【大西】一方で、外国人のお客様がどれだけ増えたとしても、1つの店で2層や3層の専用フロアを設けるつもりはありません。そうなれば、これまでのお客様が離れてしまうでしょう。我々は日本の百貨店。あくまでも日本のお客様を大切にしたい。バランスをとりながら、ご要望に応えていきたいと考えています。