大田区の民泊条例申請は、ごくわずか

国も現状を放置するつもりはない。政府は東京都などを、旅館業法の一部が適用除外とされる国家戦略特区として指定。条例などを満たせば民泊営業できるようになった。

「民泊」認定書を交付する松原忠義大田区長(写真右)。関心が高まる一方で、実際の認定は進んでいない。(写真=時事通信フォト)

ただ、現実はうまくいかない。東京都大田区は今年1月、民泊条例を施行したが、申請した民泊事業者は、初日に2件に留まっている。役所からお墨付きをもらえる絶好の機会なのに、なぜ多くの民泊事業者は申請しないのか。

「宿泊施設(簡易宿所)の営業には、旅館業法のほか、建築基準法や消防法、都市計画法等の基準も満たす必要があります。ところが条例で適用除外できるのは旅館業法だけで、規制も実態にそぐわないものとなっている。それゆえ民泊を運営する法人や個人事業者は、許可申請を取得することに躊躇しているのです」

たとえば、マンションの一室を民泊に使うなら、建築基準法上の用途を住居用から簡易宿所へと変更する必要がある場合もある。簡易宿所の審査基準を満たすために工事すれば、コストがかかって初期投資の費用が膨らんでしまう。申請すれば藪をつついて蛇を出すことになるため、現状のまま営業しようと考える民泊事業者が多数派なのだ。

「グレーな民泊をなくして民泊を推進させるなら、特区で旅館業法だけを適用除外にするだけでなく、旅館業法自体の改正、ひいては建築基準法や消防法、都市計画法等の改正まで視野に入れたほうがいい。そうしないと大田区のように誰も守らない規制だけができる。2020年の東京五輪に向け、早急に取り込んでもらいたいですね」