「中学生対象の調査だと、生徒の約4割が“気分が長期間落ち込むことがある”と答えています。これが一時的なものであれば、まだ良いのですが、何をしても楽しくない、気持ちが明るくならない、熟睡できないといった期間が2週間以上続く場合、うつ病の疑いがあるため、心療内科の受診をおすすめします」(諸富氏)
うちの子は毎日無邪気に遊んでいるから大丈夫と判断するのは早計だ。
「親の前では無理をしていて、症状が見えにくい子も多いのです。カウンセリングに来るお子さんのタイプはさまざまで、大丈夫と断言できる子なんかいません。放っておけばひきこもりや自殺のリスクすらあります」(諸富氏)
子供の世界に潜むストレス
うつをはじめとしたメンタル不調になる原因はさまざまだ。なかでも一番の原因は人間関係だという。
「いじめは、低年齢化が進み、かつては小6がピークだったものが、今や小4がピークです。内容も暴力よりメンタル攻撃のほうが多くなってきました。いじめほどでなくても、教師や友達とうまくいかないことが原因となることも多い」(諸富氏)
こうした学校関連のストレスは、やはり春先が多いという。
また、受験に対して、親がストレスをかけてしまい、子供のメンタルが不調に陥ってしまうケースも多い。神奈川県立こども医療センターの新井卓(たかし)氏は次のように警鐘を鳴らす。
「ストレスの感じ方は、人それぞれですが、受験は子供にとって大きなストレスになります。教育熱心な親ほどさじ加減を間違えやすく、子供を追い込んでしまいがち」
これについては、高橋氏も同意見だ。
「受験に熱心な医師の子供が、相談に来るケースは多いです。塾でも家でも勉強をし、“お医者さんになってね”と言われ続ければ、子供が精神的に疲れるのも無理はありません」
メンタル不調の原因は外的要因だけではない。
「最近の家庭は“友達親子”が非常に多い。仲が良いだけならいいのですが、親が子供に付きっきりで、身の回りの困りごとを先回りして解決してしまうケースも多い。そうなると、日常生活で失敗に慣れていないため、ささいな失敗で学校に行けなくなる子も少なくありません」(諸富氏)