健康な歯は一生の宝。厚生労働省は8020(ハチ・マル・ニイ・マル)運動という目標を掲げ、80歳まで20本の健康な歯を残そうと呼び掛けている。小学校高学年に生えそろう永久歯は28本しかない。親知らずを除くと、歯は新たに生えることはないので、この28本を大切に守らねばならない。

歯磨きの重要性は学校などで教えられるが、東京都港区虎ノ門で歯科医院を開く天野聖志先生によると、多くの場合、間違ったやり方を身に付けてしまっているという。

「学校では歯ブラシを横にゴシゴシ動かすように教わります。しかし、歯磨きで取り除きにくいのは、歯と歯の間の汚れ。力を入れて歯ブラシを歯に押し付けると、毛先が寝てしまい、歯と歯の間にうまく入りません。それに力を入れて磨くと、成長中の子供の歯のエナメル質を傷つけてしまう可能性もあるのです」

歯と歯の間の汚れを取るのに最も効果的な歯磨き法は“縦磨き”だと天野先生。歯ブラシを縦に持ち、歯の一本一本に毛先を当てて、小刻みに縦に動かすのが良いそうだ。

「歯ブラシの幅はだいたい歯1本分。縦磨きをすると食べカスが一番たまりやすい歯と歯の間も丁寧に磨けます」

縦磨きをするうえで、大切なのが歯ブラシの持ち方。

「私は人さし指と中指、親指の3本で歯ブラシを持ち、薬指、小指を軽く添えるように勧めています。これだと、縦に歯ブラシを動かしやすく、力も必要以上に入りません」

歯磨き粉の量にも気を配ってほしい。実はプロの目から見ると、歯磨き粉はマッチ棒の先ほどの量で十分だという。