論理的思考の高偏差値学生は「敬遠したい」

▼落とし穴2:主語「私」を繰り返す

次の落とし穴は「自分の実績ばかりを強調する」ことだ。

困難な壁に遭遇したときに自分で創意工夫し、努力を重ねて見事に実現させたストーリーを語る人がいるが、人事担当者はそれだけで評価することはない。

食品会社の人事担当者はこうした回答のチェックポイントについて指摘する。

「まずチャレンジした課題の内容だ。大概の学生はアルバイトやサークル活動でのトラブルの経験を持ちだしてくることが多い。正直言ってその程度の経験なら、あなたでなくても他の人でも解決できだしょうというケースが多い。次に、主語が『私』ばかりで、それを強調しすぎる人は要注意だ。チームでやっていれば課題を克服するのに当然、周囲の手助けがなければ成し遂げられるわけがない。にもかかわらず、自分がリーダーシップを発揮して解決しましたと、実績だけを強調する人は、本当にそうかなと思ってしまう」

また、製薬会社の人事担当者は次のように指摘する。

「(困難クリア体験した学生の)自我がしっかりし、目的意識を持った人だということはよくわかるが、職場やチームで仕事をしているときに、周囲の理解を得ることなく突っ走ってしまう危うさを感じてしまう。とくに高学歴の学生ほど論理的思考力は高い傾向があるが、若い頃はとにかく論理で攻めがち。正論やあるべき論を貫き、まあまあというふうに妥協しないところがある。そういう人は敬遠したい」

では、面接官が最も聞きたい点とは何か。

それは「成功物語よりも失敗の経験であり、さらに失敗を挽回するためにどのようにして周囲を巻き込む努力をしたのか」ということだ。

電機メーカーの人事担当者は「不確実な時代に一人で物事を解決することなんて当然無理だ。ましてや若手の社員ができることは限られている。上司から大役を任せられても実現するために先輩や上司、さらには他部署の人間をどのように巻き込んで仕事を進めることができるかどうかが大事だと考えている」と語る。