捜査機関と協力して徹底解明を

1月、ある巨人軍のOBは、昨秋の事件発覚に触れて、こうメディアに苦言を呈した。「巨人の3人に責任をとらせて、ぽんとふたを閉めているような状況になってしまっている。もっと厳しく、メディアに批判してもらいたかったですね」と。

事は野球賭博問題だけではない。元プロ野球選手の清原和博容疑者の覚醒剤取締法違反容疑もある。なぜ巨人絡みの選手が多いのかという疑問も浮かぶ。人気チームゆえ、他球団より多くの誘惑の手が伸びてきやすいのだろう。あるいは、メディアの扱いが大きくなる人気球団の選手に絞って、週刊誌にネタが持ち込まれるのかもしれない。

再発防止策としては、ふだんの研修会や教育活動などで選手の自覚を促すのもひとつだろう。ただ「一罰百戒」もやむをえまい。NPBは今回の件に関して、選手だけでなく、監督責任があったとして、巨人にも昨年より重いペナルティーを与えるべきである。

問題は、他球団を含め、野球賭博に関与した選手が他にいないかどうか。敗退行為はなかったのかどうか、である。

もうじき開幕だからと幕引きを急ぐのではなく、NPBは警察と協力し、時間をかけてでも徹底解明を図るべきである。もう捜査機関の手に委ねるしかあるまい。熊崎勝彦コミッショナーは元・最高検察庁公安部長。本気になれば、うみを出し切ることができるはずである。

松瀬 学(まつせ・まなぶ)●ノンフィクションライター。1960年、長崎県生まれ。早稲田大学ではラグビー部に所属。83年、同大卒業後、共同通信社に入社。運動部記者として、プロ野球、大相撲、オリンピックなどの取材を担当。96年から4年間はニューヨーク勤務。02年に同社退社後、ノンフィクション作家に。日本文藝家協会会員。著書に『汚れた金メダル』(文藝春秋)、『なぜ東京五輪招致は成功したのか?』(扶桑社新書)、『一流コーチのコトバ』(プレジデント社)など多数。2015年4月より、早稲田大学大学院修士課程に在学中。
【関連記事】
清原和博覚せい剤容疑で逮捕、球界の再発防止策は
巨人再建へ、40歳の「エリート」由伸監督の覚悟
2019年W杯日本大会の成功めざして! 開催地が熱戦の運営視察
レジェンド・山本昌、チャレンジングな第二の人生
原辰徳監督「監督像の原点は、もう一人の『原監督』(父・原貢)にある」