プロファイリング

「人物像」「保有情報・知識」を整理したら、「期待値」「理解レベル」を明らかにするプロファイリングにとりかかりましょう。

ターゲットの「期待値」に応えるには、まずは顕在化した期待を捉えます。そのうえで背後に隠れたまだ言語化できていない潜在的な期待を推し量ることができるか。ここが資料作成の出来・不出来に大きな影響をおよぼします。

わかりやすい資料をつくる人は、必ず相手の期待を超えた何かを提供します。期待を把握したうえで、「こうお考えかもしれませんが、少し違います。実は……」と相手にとって意外性のある内容にすれば、前のめりのアクションに結びつきやすくなります。

実際によく見受けられるのは、相手の顕在化した期待さえも把握せずに「自分の言いたいこと」に終始してしまう資料です。自分の思い込みで「きっとこれが聞きたいに違いない」と強引に進めても相手を納得させることは難しいでしょう。

相手が何をどうしてほしいのか。相手の優先順位の高いものは売り上げか、利益か、あるいはスピード感か革新性か。その見極めが重要です。

例えば、業界のリーディングカンパニーの場合、概して安定性より独自性の優先順位が高く、平凡な提案では満足しません。逆に、フォロワー企業では独自性よりも、収益性のほうを優先するかもしれません。

また、ターゲット側が期待することの優先順位を持っていない場合もあります。新任者で何が重要かまだ自分でも把握しきれていないケースです。こうした場合には、資料の中で「重要なことはこれです」と、相手の優先順位を決めていくような啓蒙的な内容にすることが有効になります。

ターゲットの「理解レベル」を知ることも、わかりやすい資料をつくるうえで避けて通れない作業です。例えば、コンサルティング業界では横文字や専門用語を使った資料を作成することが多く、しばしば他業界の人に「よくわからない」と言われます。相手がその言葉になじみがないためです。