そもそもロボ・アドバイザーとは?
金融工学理論が予めプログラミングされており、定量的な統計計算に基づいた投資推奨である為、「自分(金融機関)が販売したいものを都合よく奨めているだけではないのか?」との疑いも被害妄想も無い。ETF(上場投資信託)を利用したポートフォリオ運用が多く、人件費もかからないため、伝統的金融機関の投資アドバイザー(ヒト)を通すより圧倒的に低コストとなる。
多くのロボ・アドバイザーは、ウォールストリートの金融機関で数年過ごしたトレーディング・電子取引・IT出身者と、世界最高峰の大学・大学院から卒業したての数理系天才達が融合して始まったFinTechベンチャーだ。ただ、数十名程度の従業員規模とはいえ、上位5社の運用預かり資産はそれぞれ10億米ドル(約1100億円)を上回っており、既に大手金融機関とロボ・アドバイザーの提携、または吸収・合併のニュースが巷を賑わせている。
それでは大手ロボ・アドバイザーを参考に挙げよう。
2008年に創業、大手のBetterment (米国、NY) はわずか6年弱で、12.5万件を超す顧客から合計30億ドル(約3300億円)を預かり、運用している。社名に現れているが、 “Investing Made Better”(投資をよりいっそう良く)をスローガンに、Webページは非常に美しくデザインされており、初心者が心地よく投資について学びながら運用する気持ちが理解できる。
業界の雄としてよく比較対象に挙がるのはWealthfront 。2011年にシリコンバレーで創業し、僅か2年半で運用預かり資産を10億ドルまで拡大した事で注目を浴び、こちらも現在30億ドル(約3300億円)との事。両社ともスタンダードなポートフォリオ理論に基づいた似通った運用になりがちだが、大きな違いは、Bettermentに不動産とコモディティ(商品市況)という2つのセクターに対してのETF設定が無く、Wealthfrontに米国債ベースのETFファンド設定が無いということだろうか(TIPS、つまり米国物価連動国債はある)。個人的にはBettermentの方がより初心者フレンドリーに感じる。