社長自ら部下コーチング成長拡大を目指す
こうした特徴を踏まえたうえで、現在、20年に向けての成長戦略を練っているところです。具体的な形で発表できるのは数カ月先になりますが、いま考えていることをいくつかお話ししましょう。
ビジネス面では、カテゴリーを2つに分けて見ています。1つは、衣料用洗剤やヘアケアなど、数量的には爆発的な伸びが期待できない成熟カテゴリーです。ただ、先ほど言ったように日本の消費者は革新的なアイデアに対する反応がいい。たとえば洗剤のジェルボールのように、消費者をワクワクさせる高付加価値の商品を提供していけば、たとえ数量が伸びなくても、金額的に伸ばしていくことは可能でしょう。
もう1つは、成長途上のカテゴリー。たとえば消臭芳香剤のファブリーズや、柔軟仕上げ剤のレノアなどは、まだ使っていない方も多い。これらのカテゴリーは、中長期的に数量の伸びが期待できます。
この2つに加え、いまはまだ日本にないカテゴリーを展開していくこともありえます。いま日本で展開されているブランドは約20ですが、P&Gは世界で約65のブランドを擁しています。その中から、消費者ニーズや他ブランドとの競争状況、サプライチェーンなどを考慮して日本にふさわしいものを、今後検証していきます。
人材の育成にも力を入れていきます。人材の成長なくして、ビジネスの成功なし。ですから、人材育成も人事に任せっきりにするのではなく、私自身が若い人たちに直接講義をしたり、1対1でコーチングする機会をつくっていくつもりです。グローバルのP&Gを引っ張る人材が、日本から続々と出てくる状況をつくりたいですね。
P&Gジャパン代表取締役社長 スタニスラブ・ベセラ
1969年、チェコ共和国生まれ。91年チェコのP&G営業本部に入社。営業やマーケティングなどを中心に、その後、北米、ヨーロッパ、アジア、オセアニア、アフリカなどに赴任し、各地の売り上げ向上に大きく貢献。南アフリカや東西アフリカでバイスプレジデントを務め、2015年9月より日本社長に就任。
1969年、チェコ共和国生まれ。91年チェコのP&G営業本部に入社。営業やマーケティングなどを中心に、その後、北米、ヨーロッパ、アジア、オセアニア、アフリカなどに赴任し、各地の売り上げ向上に大きく貢献。南アフリカや東西アフリカでバイスプレジデントを務め、2015年9月より日本社長に就任。
(村上 敬=構成 水野浩志=撮影)