闘病のサポートで必要なのは”愛情よりもお金”
この連載で、パートナーの闘病をサポートするのに、どれだけ愛情があってもお金がなければ、なんの役にも立たないことは少なくない、ということを何度も訴えてきました。パートナーに対する愛情はあまりなくてもお金があれば、闘病のサポートはそれほど問題がない、ともいえるかもしれません。
闘病のサポートには愛情よりも、まずはお金が必要、といってしまってもいいかと思います。愛情よりもお金があるほうがパートナーに感謝される、といっても過言ではないでしょう。もちろんパートナーに愛情がないのは問題外ですが、ここまで私が“お金”のことにこだわるのは、お金に困っている時期は、朝起きた瞬間に「死にたい」という思いにとらわれることが、少なくないからかもしれません。これはなかなか苦しいものがあります。
それでも、お金よりも愛情のほうが必要、と強く思う人は多いでしょう。私の考え方に嫌悪感を抱く人も、少なくないかと思います。素晴らしいことではありますが、このように思える人は、お金に困っていないか、がん闘病サポートの現実がわかっていないことがほとんどかと思います。
詭弁に思われるかもしれませんが、夫婦なら普通、パートナーに対する愛情があって当然です。愛情がないのに夫婦を続けているのは不自然なことです。ある程度でも愛情があるのなら、あとはお金があれば闘病のサポートは、それほど問題なく行うことができます。
お金はあるけど、闘病のサポートをする時間がない、という人も多いでしょうが、このような場合でも、いくらかお金で解決することができます。たとえば、親が近くに住んでいて、まだ元気ならばお金を渡して、家事のサポートを手伝ってもらえばいいでしょう。育児では、両親にお金を渡してサポートしてもらっている人はめずらしくないため、闘病のサポートでも、この方法は使えるかと思います。感謝の気持ちと多めにお金を渡しておけば、トラブルにならないでしょう。
親のサポートが望めない場合は、週に何度か家事代行サービスを頼めばいいかと思います。最近では、1時間1500円でしてくれるところもありますので、お金に困っていなければ、十分に検討の余地はあるかと思います。そこまでしなくとも、夕食はほとんど外食にするだけでも食器などの洗い物が激減しますので、かなり家事がラクになります。
このようにサポートする時間がなくともお金があれば、家事の問題はいくらか解決できるのです。それでもパートナーへの精神的なサポートを怠らなければ、立派なサポートをしている、といってもいいでしょう。このほうが仕事への支障をきたすことが少なく、長続きするスマートなサポート、といえるかと思います。