実は低い「カレーの壁」

ところで、日本国内におけるカレーショップの競争構造は独特です。リーダーであるCoCo壱番屋は1270店舗を展開しているのに対して、2番手と目されるゴーゴーカレーは70店舗弱にとどまっています(いずれも各社のウェブサイトの最新情報に基づく。以下も同様)。店舗数だけで見ると、実に20倍近い開きがあるわけです。

一方、牛丼業界を見てみましょう。トップのすき家は1972店、次いで吉野家の1191店、さらに松屋が960店舗と続き、「三つ巴」と言えるような環境になっています。ハンバーガーではマクドナルドとモスバーガー、ラーメンでは幸楽苑と日高屋のように、業界のリーダーに対してはチャレンジャーやフォロワーと呼ばれるようなある程度の事業規模を誇る2番手、3番手が存在することが一般的です。しかし、カレーについてはCoCo壱番屋の独壇場となっているのです。それはなぜでしょう?

まず前提として、「カレー専門店はビジネスとして展開するのが実は難しい」ということが考えられます。優れたカレールーやカレー粉があるおかげで、私たちは家庭でもおいしいカレーをつくることができます。また、ファミレスやカフェ、あるいは立ち食い蕎麦店や牛丼店であっても、それなりにおいしいカレーがすでに提供されています。つまり、わざわざカレー専門店に足を運んでもらうためには、実は高いハードルがあるのです。おいしくて手頃な価格の牛丼やラーメンというものが、専門店以外ではなかなか味わえないこととは対照的です。