人間を違う生き物にしたい

【田原】そういう流れの中で、佐藤さんは何をやりたいの?

【佐藤】方向性は決まっているので、私たちは早めたり遅くすることくらいしかできません。私自身は、流れを早めたい。人間は労働やお金から解放されたらもっと違う生き物になれるはずです。なぜかそれを自分がやるべきなんじゃないかという思い込みがあって、使命感に燃えています(笑)。

【田原】いいですね。ただ、スケールが大きすぎて、まわりはついていけないんじゃない?

【佐藤】理想と現実の距離が遠いことはたしかです。上場のロードショーで投資家のみなさんに自分のやりたいことを話したら、おもしろいと評価してくれた人と、意味がわからないという人に真っ二つに分かれました。これはもう仕方がないですね。

【田原】僕も直接説明してもらうまで、よくわからなかったですからね。今日はお話が聞けてよかったです。頑張ってください。

田原氏への質問:歴史は繰り返すというが、僕は先に進めたい……

【田原】佐藤さんは、歴史は結局同じことの繰り返しにすぎないのか、それとも繰り返しに見えて本当は少しずつ進んでいるのかを聞きたいのだと思う。経験からいうと、僕は後者、つまり似たことが繰り返されても、そのたびに進化していると考えています。

たとえば堀江貴文の後も起業家はたくさん出てきたけど、彼らは目立つと叩かれると学んだから、とても行儀がいい。安倍晋三総理も祖父の岸信介と同じく本当は憲法を改正したいと考えていますが、憲法には手をつけず集団的自衛権をやった。似たことをやっているように見えても、後に続く人はきちんと学んで変化している。だから悲観する必要はない。頑張って時計の針を先に進めてください。

遺言:変化は必ず起きる。一歩ずつ進め!

田原総一朗
1934年、滋賀県生まれ。早稲田大学文学部卒業後、岩波映画製作所入社。東京12チャンネル(現テレビ東京)を経て、77年よりフリーのジャーナリストに。若手起業家との対談を収録した『起業のリアル』(小社刊)ほか、『日本の戦争』など著書多数。
(村上 敬=構成 宇佐美雅浩=撮影)
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