ファクトベースで説明した後は、今回提案する企画と他のオプションを比較検討した表を1枚で示す。コンサルタントにとっては、これがキースライドになる。
「他のオプションと十分に比較検討したことを示せば、提案した企画が結論ありきの決め打ちではないことが伝わります。たとえば、他のオプションに比べて市場成長性はどうなのか、自社のプロモーション力を活かせるのか。さまざまな角度から比較して網羅感を出したいところです。また、比較が客観的であることも大事。資料に書く必要はありませんが、なぜそう評価したのかと突っ込まれても即答できるように、評価基準を明確にしておきましょう」
ファクトの提示や他のオプションとの比較表は知恵を伝えるのに役立つが、一方、情熱を伝えるために欠かせないのが具体的なプランや体制に関する資料。
「読み手の心を最終的に動かすのは、リアリティーと迫力です。それらを示すには、必要な投資と期待できる売り上げ、具体性のあるスケジュール表が必須。また、どのような体制で企画を実行するのかという体制図も重要。自分が責任ある立場で入り、さらにすでに他部署に根回しして協力を取り付けていることを示せば、提案者の覚悟が伝わります」
以上がBCG流提案書の基本パターンだが、平井氏は「型にとらわれる必要はない」とアドバイス。
「事業会社なら、理屈よりも意思や情熱を強調したほうがいい場合もあります。そのときは、1枚目の背景と目的、最後の事業計画や体制図だけでもいい。重要な点は押さえていることを示すには、分析前のデータや法規則などのファクトそのものでもいい。社内であれば、資料のつくり込みは本来不要のはずです。僕はパワーポイントでものすごくきれいにつくられた資料を見ると『あれ、暇なのかな?』って思います(笑)。伝わればいいのですから、ワードやエクセルまたは試作品そのものでも十分なのです」