東芝の経営陣は今すぐ「四書五経」を読め

若い頃に人生に悩んだことがあり、それをきっかけに『論語』などの中国の古典を読み始めました。経営コンサルタントとして、セミナーや講演などで経営者向けにそうした古典の言葉を引用することも少なくありません。

(1)「物を弄べば志を失い、人を弄べば徳を失う」(書経)

例えば、「四書五経」*のひとつに『書経』というものがあります。

*9つの儒教の重要な教典。四書は『大学』『中庸』『論語』『孟子』。五経は『詩経』『書経』『礼記』『易経』『春秋』。

その中に「物を弄べば志を失い、人を弄べば徳を失う」という言葉があります。人間はいろんなものを欲しくなりますが、そんなことばかり考えていると志を失ってしまい、また人を弄ぶようなことをするとリーダーとしてとても大切な人徳を失う、ということです。

これを読むたびに、2500年も前から、人は同じところで躓いているということがよく分かります。現代は昔よりずっと物質的にも豊かで、貨幣経済が発展していますが、そうであるからこそ、以前より、失敗しやすくなっているとも言えます。

物を弄び、志を失っていないか。人を弄んで、人徳を失っていないか。そのことを、とくにリーダーはよくよく注意する必要があるのです。

(2)「利によりて行えば怨み多し」「先義後利」(論語)

また、『論語』には、「利によりて行えば怨み多し」という有名な言葉があります。自分の目先の利益だけを考えて行動すると、恨みを買い、結局うまくいかないということです。