月面開発をビジネスにしたい
【田原】着々と準備が進んでいるようですが、打ち上げの予定はいつ?
【袴田】16年の後半を予定しています。アメリカのケネディ宇宙センターから、イーロン・マスクのスペースX社のロケットで飛ぶ予定です。
【田原】着陸船はどこがやるのですか。
【袴田】アストロボティックというアメリカのベンチャーです。そのチームも賞金レースに参加しているので、月面に着いたら、「よーいどんでF1レースをしよう」と言っています。
【田原】おもしろい。ほかの有力チームはどうですか。
【袴田】中間賞を受賞したチームは、ぜんぶライバルです。HAKUTOのほかに、アメリカが2社、そしてインド、あとはドイツです。
【田原】インドですか。意外です。
【袴田】じつは宇宙開発のハード面は、わりと古い技術の寄せ集めでつくることが可能です。これから重要になってくるのは、着陸などを自律的に制御するソフトウエア。インドはそのあたりが得意なので、有力チームとして残ってくると思います。
【田原】最後に聞きたい。賞金レース、もし勝てなかったらどうなりますか。
【袴田】勝利を目指して最善を尽くしますが、そのことが最終的な目的ではありません。私たちがやりたいのは、ロボット技術を活かして月の資源開発を進めることです。レースが終わった後も、2度、3度と月に行って資源のありかをマッピングしたりサンプルを回収して、資源開発を次のステップに進めていく。今回の賞金レースは、その第一歩です。
【田原】なるほど。賞金レースは、ゴールというより、むしろスタートだ。結果が楽しみです。応援しているので、頑張ってください。